フランス語で“うれしい”と喜びを表すRaviと名のついたお店はいろは蔵パークから歩いて5分ほどの「川辺の館」の2階にあります。
上品さとカジュアルさを備えた店内で、ライトアップされた山居倉庫を眺めながらワインと土地に根差したフレンチの一皿を楽しむひととき。
酒田でしか味わえない時間がいつも流れています。
Q.山居倉庫エリアに新たな商業施設ができることについてどう感じていますか。
まちなかを歩いていて人が減ったなあと思うことが増えた中で、地元の人たちが地元のためにつくるといういろは蔵パークには、新しい地域の動きを感じています。
Q.Raviさんがオープンした当時、酒田におしゃれなお店ができた!と感激したのを思い出します。
2005年のオープンなので、ちょうど20年になるんですよ。近年はコロナ禍もありましたけど、持ちこたえた!って感じです(笑)。たくさんのお客様にご利用いただいて本当にありがたいです。もともとここの敷地は個人のお宅だったところで、周辺ににぎわいをつくろうと「川辺の館」を建てたとうかがいました。この通りにもっと飲食店が増えるといいなってずっと思っています。せっかくのロケーションですから。
お客様は山居倉庫の景色を楽しみに来てくださる方が多いんです。今日なんて倉庫の瓦屋根に雪が積もってすごくきれいですよね。欲を言えば、お店の営業時間が23時までなので、22時までのライトアップをあと1時間延ばしてもらたらうれしいなって(笑)。
Q.川辺の館が建てられた思いを知ると、ここは山居エリアと港や中町エリアを結ぶ場所になるわけですね。年3回開催されている「山居バル」はまさににぎわいの創出を目的としたイベントで、Raviさんもたびたび参加されていますよね。
系列店の「あぶり家ろわ蔵」(日吉町)と共同で年1回出店しています。イベントの人出も回を重ねるごとに増えて、どんどん盛り上がっていくといいなって。いろは蔵パークがオープンした後もこうしたイベントも含め、山居倉庫のエリアから港や中町のほうに上手くつながって、一帯が発展していくことを期待しています。
Q. Raviさんは、仕事の接待の方やご家族連れ、プロポーズや記念日の利用とお客様の層も利用の幅も広いですが、観光の方もよく来られますか。
はい、旅行でいらして常連になってくださった方もいます。この間は「山居倉庫が見たくて」と奈良から年配のご夫婦がお見えになりました。北前船の寄港地をめぐる旅で酒田に立ち寄られたとのことでした。旅慣れた方たちは有名な観光地をただめぐるのではなく、テーマやストーリーに惹かれて目的地にされるんですね。そのご夫婦は「東北は面白いね」って仰って、「酒田にはもう1度来たい」って。旅の方たちからは、地元に住んでいても知らなかった酒田の良さに気づかされます。地域外の方々との交流がいろは蔵パークができることでより活発になるといいなと思います。
Q.お客様から得た気づきを通して、酒田のまちづくりについて思うことはありますか。
昔からあるものの価値を再確認することも大切なんじゃないかなと思います。古いものを大切に生かしながら、新しい価値を重ねて発展させるというか。お店のすぐ近くにある「酒田町奉行所跡」には県外からのお客様がよく立ち寄られるんですよ。中に入って見られるように環境が整備されるといいですよね。
私がフル活用しているのが2014年に酒田市で作成した「見て歩きマップ」です。歩いて来店されたお客様にこのマップで案内しているんです。英語版があれば海外の方にも街歩きを楽しんでいただけますよね。お客様にとって次につながる道案内、新しい街の歩き方が提案できればと思っています。
Q.いろは蔵パークはどんな場所になるといいですか。
地域内外を問わずいろんな人が集まるところにしたいですよね。近年はクルーズ船も来航していますし、海外の方たちも楽しめる場所になると面白そうだなって。まずは地元の人たちが行きやすい場所になれば、地域外の方にもきっと魅力的に映るんじゃないでしょうか。
あとは山居バルやいろは蔵パークでのイベントなどを通して、酒田がお酒のまちとしての認知度が高まるといいなと思います。私たちのお店ではワインは毎日種類を変えて用意していますが、県内のワイナリーも増えましたし、酒田は日本酒もおいしいし、クラフトビールもできて、ウイスキーも焼酎もありますし。「酒の酒田」としての広がりの中で、さまざまなジャンルの飲食店も合わせて増えてくれたらうれしいです。
ソムリエール 三浦彩絵さん
復元された冠木門を構える「酒田町奉行所跡」は、Raviのある「川辺の館」の向かい。江戸期から明治維新まで役所として機能し、町奉行の住まいでもあったと伝えられています。現在の跡地の約5倍の面積だったとされ、東側は米蔵=新井田蔵(いろは蔵)に面していたとの説。